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第56回吉祥寺寄席「狂言と落語で新しい時代をお祝い!」

草木の緑が深まり、梅雨明けが近づいてきました。

5月より新しい元号を迎え、
また、平成元年生まれの吉祥寺寄席スタッフ出身の春風亭一猿さんが、
落語協会にて前座から二つ目に昇進しました。

一人前扱いされない代わりに先輩方から保護してもらえる立場から、
自由と独立した活動が許される代わりに、個人事業主のように自分の力で、
落語でのお仕事を開拓しなければならない立場になりました。
二つ目昇進は、落語家としてやっていけるかどうかの大きな岐路となりますが、
精進して道を切り開いてほしいと願います。
昇進を機にウェブサイトも開設されました。
https://www.s-ichien.com/
仲間内の集まりや小さな会などに、落語家を呼んでみようかなという方は、
ぜひお知らせください。

さて、今回の吉祥寺寄席は、新しい元号と一猿さんの二つ目昇進を祝い、
新しい時代の皆さまのご多幸を祈って、おめでたい回にします。

ゲストは、狂言方能楽師の大蔵教義(のりよし)さんです。
狂言は、日本の伝統的なコントで、普遍的でおおらかな笑いが特徴です。
元々は奈良時代にシルクロード経由で大陸から伝わった散楽(アクロバットや
物真似など)を起源として洗練されていき、室町時代に成立し、
江戸初期にかけて固定された、現存する世界で一番古い演劇です。
中世の庶民の日常を中心に描く中で、人が本質的に持つちょっとした見栄や
欲などが誘因となって、コント的な展開になることが多いです。
大名や主人、サボりがちな使用人、そして地獄の鬼さえも、
容赦無く大らかに笑い飛ばされてしまいます。
「あぁ、あるある」「その気持ち分かるけどダメ!笑」とクスクス笑ってしまい
ますが、時代を超えても(言葉の壁がなければ恐らく国境も越えても)通じる、
普遍的な人のダメさと可笑しさなどを表現していて、
私も昭和の頃の学生のときから大好きな日本の伝統芸能です。

教義さんは、4才で「業平餅」の稚児役で初舞台を踏み、これまでに狂言に
おける大曲・秘曲、「末廣がり」「千歳」「那須」「三番三」「釣狐」を
披いていらしゃいます。
飛び抜けた身体能力もお持ちで、狂言のシンプルな舞台での笑いの中に、
非日常感が現れて更に楽しくなります。
国立能楽堂の本舞台から橋掛かり(本舞台の左の出入口に向かう通路)の
20メートル近くを側転を鮮やかに繰り返して退場された演目では、
舞台に残された相手の役柄の気持ちになって、思わず口が開いてしまいました。
ひょっとしたら奈良時代に大陸からアクロバティックな散楽が伝わったときの
ワクワク感ってこんな感じだったのかな?とも想像してしまう貴重な方です。

今回はお忙しいスケジュールの中をお願いして、
吉祥寺寄席へのご出演をお引き受けくださいました。
お弟子さんの上田圭輔さんと共に狂言の実演もしてくださるそうです。
最後は、一同で、狂言の演技独特のめでたい笑い方を教わって、
皆の大笑いで新しい時代の始まりを迎えたいと思います。

落語は、師匠の春風亭一朝さんと、弟子の春風亭三朝さん、春風亭一猿さんの
一門3名揃っての出演です。

ベテラン枠の春風亭一朝さんは、3回目の出演です。
落語家さんの中でも、歯切れのよい江戸ことばがとびっきり耳に心地よい方です。
NHKの大河ドラマで、江戸ことばの指導もされています。
おおらかな狂言の笑いの後に、ちゃきちゃきの江戸ことばの一朝さんをお楽しみください。

若手枠レギュラーの春風亭三朝さんは、趣味が「おしゃべり」だからなのか、
落語の登場人物の会話がとても自然で立体的で、
その会話の輪の中に入って、楽しんでいる感じになります。
7月21日から10日間、一朝さんや小朝さんも出演される寄席の番組で、
トリを務められます。

開口一番は吉祥寺寄席スタッフ出身の春風亭一猿さんです。
6年近く前から吉祥寺寄席を手伝ってくれています。
月日の経つのは早いです。
二つ目という身分に昇進したので、羽織りを着ることが許されて
初めての出演です。

第56回吉祥寺寄席「狂言と落語で新しい時代をお祝い!」
日時: 令和元年7月31日(水)19:30-21:40頃
出演: 落語: 春風亭一朝 春風亭三朝 春風亭一猿
   ゲストコーナー:
    大蔵教義・上田圭輔「狂言- 日本伝統の喜劇を楽しむ」
会場: 光専寺(サンロード突き当たりを左に曲がり数軒目。
   吉祥寺本町1-10-21 吉祥寺駅徒歩5分。
会費: 1800円 要予約
メール:kichijojiyose@gmail.com

お早めにご予約をお待ちしております。
めでたい狂言と落語で、新しい時代のお祝いをお楽しみくださいませ。 ++++ 春風亭 一朝 昭和43年 5代目春風亭柳朝に入門 国立演芸場花形演芸大賞 春風亭 三朝 平成14年 春風亭一朝に入門 平成29年 真打昇進、春風亭三朝に改名 NHK新人落語大賞受賞 大蔵 教義 狂言方能楽師。2世大蔵吉次郎の長男。 第24世宗家故大蔵彌右衛門及び、父に師事。 4才で初舞台「業平餅」。 今日までに狂言における大曲・ 秘曲、「末廣がり」「千歳」「那須」「三番三」「釣狐」を披く。 狂言の魅力を広める活動にも尽力。 上田 圭輔 1986年生まれ。二松学舎大学卒。 在学中より2世大藏吉次郎に師事し、卒業後に入門。 春風亭 一猿 吉祥寺寄席スタッフを経て 平成26年 春風亭一朝に入門 令和元年 二つ目昇進