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第57回吉祥寺寄席「よみがえる天平の五弦琵琶の調べと落語!」

今年も月が澄んで美しい頃となりました。

奈良時代に遣唐使で唐に渡った阿倍仲麻呂が異国の地から
「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも」
 (天を仰いではるか遠くを眺めれば、月が昇っている。
  あの月は奈良の春日にある、三笠山に昇っていたのと同じ月なのだなあ。)
と、歌を詠んでから1300年近くになります。
時と空間を超えて、ほぼ同じきれいな月を眺めていることに深く心が染みます。
そして今、東京国立博物館で、ご即位記念特別展で「正倉院の世界」展が
開かれており、奈良時代に阿倍仲麻呂が月を詠んだ、唐などからの宝物が
展示されています。
先週、NHKスペシャル「天皇が創った至宝~正倉院宝物が伝える日本誕生~」も
放送され、国際的で華やかな天平文化が紹介されました。
その天平文化の中でも唐から伝わった、ラクダの文様で知られる五弦琵琶
(螺鈿紫檀五弦琵琶)が大きく取り上げられ、博物館の展示の目玉となっています。
展示室には、本物の五弦琵琶と、昨年正倉院事務所が8年かけて完成した復元
模造五弦琵琶と、明治時代の模造五弦琵琶の3台が展示されていますが、
実はもう1台復元された五弦琵琶がこの特別展に登場しています。
10月23日に国立博物館の展示横で、天平の音楽コンサートが開かれました。
その音楽会で演奏に使われた復元五弦琵琶は、展示の3台とは別のものです。
10年前に吉祥寺寄席にゲストで出演してくださった、
天平の音楽の研究家の劉宏軍さんが約20年前に精密に復元された五弦琵琶です。
先のNHKスペシャルでも、最後に資料提供者として、劉宏軍さんの名前が
記されていました。
劉宏軍さんは、正倉院に保存されている天平時代の楽器の復元と共に、
平安初期に記録された天平の音楽の楽譜の研究などから、
国際色豊かだった天平時代の音楽を現在に再現されています。
それらの復元楽器で古代宮廷音楽を演奏する楽団「天平楽府」の音楽監督も
されています。
先月、中国で「中華国楽文化伝承傑出人物賞」という賞も受賞されました。
今回の吉祥寺寄席は、正倉院の五弦琵琶に大きな注目が集まる中、
五絃琵琶を精密に美しく、更に単に装飾品ではなく、実際に演奏できるように、
楽器としてもクォリティ高く復元制作された劉宏軍さんが、10年ぶりに、
琵琶の名奏者であるシャオ・ロンさんと共に出演されます。
平安初期に記録された天平の音楽の楽譜の研究などから再現した曲などを
五絃琵琶と古代笛を演奏してくださいます。
天平時代の音楽は遣唐使などの影響により国際色にあふれ、
遣唐使が終わり国際交流の少なくなって独自の道をたどった平安時代の音楽とは
ずいぶん違ったものだそうです。
皆さまには、天平文化の楽器を、工芸の美と音色の両方からお楽しみいただけます。
終演後には、復元された五絃琵琶と古代笛を、ガラスケース越しではなく、
皆さまが間近にご覧になれる貴重な時間を設ける予定です。
落語は、立川龍志さんと春風亭三朝さん、春風亭一猿さんの出演です。
ベテラン枠の龍志さんは向島生まれで、さっぱりとしつつ、
華やかで艶のある芸がとても魅力的です。
若手枠の春風亭三朝さんは、趣味が「おしゃべり」だからなのか、
落語の登場人物の会話がとても自然で立体的で、
その会話の輪の中に入って、楽しんでいる感じになります。 休日は要らないので、毎日高座に上がっていたいそうで、
天職に恵まれた方です。
開口一番は吉祥寺寄席スタッフ出身の春風亭一猿さんです。
今年5月に二つ目という身分に昇進し、少し羽織姿が馴染んできました。
第57回吉祥寺寄席「よみがえる天平の五弦琵琶の調べと落語!」
日時: 12月4日(水)19:30-21:40頃
出演: 落語: 立川龍志 春風亭三朝 春風亭一猿
   ゲストコーナー: 劉宏軍 シャオ・ロン
    「天平の調べ - 正倉院の楽器の復元を演奏」
会場: 光専寺(サンロード突き当たりを左に曲がり数軒目。
   吉祥寺本町1-10-21 吉祥寺駅徒歩5分。
会費: 1800円 要予約
準備やPRの都合上できるだけお早めにご予約いただければ
ありがたいです。
メール:kichijojiyose@gmail.com
電話:080-5000-8874
いつもの落語と共に、天平文化の「正倉院の世界」を復元楽器の音色でも
お楽しみくださいませ。

*****出演*****
立川 龍志 向島生まれ 昭和45年 立川談志に入門 国立花形演芸会金賞受賞 劉 宏軍 (リュウ・ホンジュン) 作曲家。笛・バーウ(伝統笛)演奏家。 正倉院復元楽器制作監修。「天平楽府」音楽監督。 1990年代後半より、正倉院に伝わる楽器を復元し、それらを演奏するグループの 「天平楽府」を創設し、天平文化の音色を現代に再生。 「天平楽府」を率いて、奈良東大寺大仏殿でのユネスコ主催コンサートに参加。 文化庁文化振興基金により、米国各地で公演。 平等院の開創950年法要に招かれ平等院翼廊、 奈良・平城遷都1300年記念祝典、奈良国立博物館本館での「よみがえる天平の調べ」公演。 2019年東京国立博物館「正倉院の世界」展にて、天平楽府で五弦琵琶などの復元楽器を演奏。 他にも、NHK「シルクロード遥かな調べ」の作曲・演奏、 NHKドラマ「陰陽師」及び「聖徳太子」の作曲・古楽指導など。 第24回伝統文化ポーラ賞国際賞受賞。 2019年中国で「中華国楽文化伝承傑出人物賞」を受賞。 シャオ・ロン 中国琵琶奏者。作曲家。 北京中央音楽学院卒業。 人間国宝級の中国琵琶の大家である劉徳海に師事。 上海芸術祭で優秀芸術賞を受賞。 「天平楽府」のメンバーとして、日本各地の他、 日本の文化庁派遣によるアメリカ諸都市での公演や中国公演で、 正倉院宝物五弦琵琶の復元楽器を演奏。NHKでも放送される。 中国琵琶のソリストとして、日本や中国、ヨーロッパ各国の交響楽団や 弦楽四重奏団と共演。 作曲・演奏のCD「蘭」「蘭II」、入門教則用のDVD「中国琵琶」など録音作品多数。 春風亭 三朝 平成14年 春風亭一朝に入門 平成29年 真打昇進、春風亭三朝に改名 NHK新人落語大賞受賞 春風亭 一猿 吉祥寺寄席スタッフを経て 平成26年 春風亭一朝に入門 令和元年 二つ目昇進