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第55回吉祥寺寄席「平成最後!天空に響く能管の音色と、郷愁あふれる落語!」

ついこの間始まったと思っていた平成がいよいよ終わろうとしています。
私たちの生まれた昭和の時代が一層遠くなると、しみじみと感じています。

そんな中、吉祥寺寄席スタッフ出身で、平成元年生まれの春風亭一猿さんが
5月下旬から二つ目に昇進することが決まりました。
落語界において前座の身は、一人前の扱いをされない代わりに
楽屋でのお世話係の仕事をもらったり、お年玉を先輩方にもらったりと、
保護してもらえる身分です。
しかしながら、二つ目に昇進したら、羽織を着たり、
名刺代わりの自分の手ぬぐいを作ったりすることが許されるようになる反面、
個人事業主のように自分の力で、落語での仕事を人々からいただけるように、
頑張らないといけなくなります。
二つ目昇進は、落語家としてやっていけるかどうかの大きな岐路となりますが、
精進して道を切り開いてほしいと願います。
5月21日から50日間連続で、上野・新宿・浅草・池袋・半藏門の各寄席で
二ツ目昇進の披露があるそうです。

さて、平成最後の第55回吉祥寺寄席を、光専寺さんにて3月13日(水)に開催します。
吉祥寺寄席らしく平成を見送りたいとあれこれ思い巡らしてみましたが、
郷愁あふれる語り口の八光亭春輔さんの落語で過ぎた時を懐かしみつつ、
神降ろしの笛とも呼ばれる能管の天空に響く音色で、
時を超えた感覚を味わう回にすることにしました。

ゲストは、能管の栗林祐輔さんです。
能管は、能の囃子(はやし)で使われる横笛で、外見は雅楽の龍笛に似ていますが、
特に内部の構造が異なり、強く鋭い音が出ます。
人の魂を揺さぶる特殊な響きがあり、お能の霊的・神秘的な側面を
象徴するかのようです。
能管は、ヒシギと呼ばれる独特の高音などの霊的・神秘的な側面により、
第14回吉祥寺寄席で紹介した、縄文時代のシャーマンが神との対話に
使用したとされる石笛(いわぶえ)の直系であるとも考えられているそうです。
石笛や能管の鋭い高音には人間が聴くことのできる音域(20キロヘルツ)よりも
高い音が含まれていますが、耳では聞こえないながらも(!?)、
高揚感やリラックスをもたらすそうです。
通常のデジタル録音では、そのような高い音域はカットされてしまうそうですが、
吉祥寺寄席では生の音色を味わうことができます。
能管のお話や演奏と共に、能管独特の天空に響く高音と高揚感も
ぜひご体感くださいませ。

栗林さんは、笛方森田流で能楽協会の会員です。
大変好評だった、第52回ゲストのお能の山中迓晶さんのご紹介で、
出演してくださることになりました。
大変多くのお能の会に出演されていらっしゃいますが、
能楽堂だけに留まらず、普及のためのワークショップや新作能、海外公演など
幅広く活動されていらっしゃいます。

落語は、八光亭春輔さんと春風亭三朝さん、春風亭一猿さんです。

ベテラン枠の春輔さんは、吉祥寺寄席初出演です。
芝居噺でも有名な昭和の名人の林家彦六さんのお弟子さんで、
その芸風をよく継いでいらっしゃいます。
どこか懐かしい静かな語り口ながら、
次第にお芝居を観ているかのようにぐいぐい引き込まれます。
今回は、45分もの「山崎屋」という大きな噺を演じてくださいます。

若手枠レギュラーの春風亭三朝さんは、趣味が「おしゃべり」だからなのか、
落語の登場人物の会話がとても自然で立体的で、
その会話の輪の中に入って、楽しんでいる感じになります。
「何をしているときが楽しいですか?」などの質問に
「落語をやってるときです。すべての現実を忘れて噺の世界に入り込めます(^^)」
「ここのところ毎日、寄席に出られていることが幸せです。」と答えていらっしゃいました。
そんな三朝さんにご出演いただけて、吉祥寺寄席は幸せです。

開口一番は、吉祥寺寄席スタッフだった春風亭一猿さんです。
入門して4年4ヵ月になり、5月に前座から二つ目に昇進します。
まだまだ基礎力を鍛える段階のようですが、頑張って精進を重ねていただきたいと願います。

第55回吉祥寺寄席「平成最後!天空に響く能管の音色と、郷愁あふれる落語!」
日時: 3月13日(水)19:30-21:40頃
出演: 落語: 八光亭春輔 春風亭三朝 春風亭一猿
   ゲストコーナー: 栗林祐輔「能管の音色」
会場: 光専寺(サンロード突き当たりを左に曲がり数軒目。
   吉祥寺本町1-10-21 吉祥寺駅徒歩5分。
会費: 1800円 要予約

天空に響く能管の音色と、郷愁あふれる落語で、皆さまと共に平成を見送りたく存じます。

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八光亭 春輔
昭和39年 林家正蔵(彦六)に入門
芸術祭賞受賞
藤間流名取

栗林 祐輔
笛方森田流。能楽協会会員
松田弘之及び杉市和に師事
国立能楽堂三役研修修了
「乱」「石橋」「道成寺」を披く
国際交流基金でのルーマニア・ウィーン公演など海外公演多数
新作能にも取り組む

春風亭 三朝
平成14年 春風亭一朝に入門
平成29年 真打昇進
NHK新人落語大賞受賞

春風亭 一猿
吉祥寺寄席スタッフを経て
平成26年11月 春風亭一朝に入門。前座見習い
平成27年10月 前座になる
平成31年5月 二つ目昇進予定